「毒親から受けた苦しみを理解してほしい」と思ったことはありませんか?
この記事で紹介する「毒親育ちの苦しみが理解されない理由」を知ると、毒親の苦しみから解放される方法がわかります。
なぜなら、私もこの記事で紹介する方法で毒親の話をしたところ、毒親による苦しみがラクになったからです。
この記事では、毒親育ちの苦しみが理解されない理由、毒親育ちの苦しみを話したいときに考えることもご紹介します。
この記事を読み終えると、毒親のことを話したいと思ったときに誰に話せばいいかわかるし、毒親育ちの気持ちも軽くなります。
毒親・毒親育ちとは?

毒親とは、子供の人生を支配したり子供を傷つけたりして、子供にとって「毒(有害)」になる親のことをいいます。
毒親という言い方は、2001年に発刊されたスーザン・フォワードさんの著書「毒になる親 一生苦しむ子供」(講談社+α文庫、玉置悟訳)が話題になり、知られるようになりました。
毒親育ちは毒親という言葉の派生語で、毒親に育てられた子供のことをいいます。
なお、毒親、毒親育ちについて詳しい内容は下記の記事をご覧ください。
毒親育ちの苦しみが理解されない3つの理由

毒親育ちの苦しみが理解されない理由は以下のとおりです。
・毒親の外面が良すぎるから
・家族が過信されすぎているから
・人によって家族観が違うから
これだけだとわかりにくいので、毒親育ちの苦しみが理解されない理由をそれぞれ詳しくご説明します。
毒親の外面が良すぎるから
毒親は家族以外の人に本性を見せません。
なぜなら、毒親は世間体を気にした言動しかしないからです。
毒親だけではなく、毒親の親(子供から見ると祖父母)も毒親なので、毒親自身も自己肯定感が低く承認欲求が強いです。そのため、毒親は周りの人に「認めてほしい」とか「いいひとと思われたい」と思っています。
そのような毒親が、子供にとっての「毒(有害)」であると周りの人に公言したり匂わせたり、自身が不利になることをするわけはありません。
毒親は、「ウチ向けの顔」と「ソト向けの顔」と両方の顔をうまく使います。「ソト向けの顔」をしている周りの人に対して毒親が本性を見せることはないし、周りの人が毒親の本性に気づくこともありません。
周りの人は外面のいい毒親しか知りません。毒親のボロが出て、周りの人が毒だと気づいても、それを受け止めるまでに時間がかかるし、見て見ぬフリを決め込む人もいるでしょう。
毒親育ちが「毒親だ」と言っても信用しません。むしろ、毒親育ちに「親不孝者」とか「被害妄想が激しい」とレッテルを貼ります。
家族が過信されすぎているから
日本では、「家族は絶対的な存在」と信じられています。
なぜなら、日本における社会やコミュニティ(組織)の最小単位は家族とされてきたからです。
その根底にあるのが「家族神話」という考え方です。「家族神話」とは、かんたんに言ってしまうと、
・家族はすばらしいもの(守られるべきもの)
・家族や夫婦間の問題はその中で解決されるべき
・家族や夫婦間の問題に、第三者が介入すべきではない
というもの。このような考え方が根強く残っているので、たとえ周りの人が家族内の問題とか内情を知っていたり、「どうにかしたい」と思っていても、なすすべがありません。
周りの人ができることは話を聞くことくらい。ハッキリ言ってしまうと、口を出さずに見て見ぬフリを決め込むのが得策だったりもします。
けれど、裏を返してしまえば、家族だからという理由だけで、家族や夫婦間では何をしても許されるということ。家族内にヒエラルキーが生まれて、毒親育ちのように辛い経験をせざるを得ない存在が生まれているのも事実です。
人によって家族観が違うから
毒親育ちが育った環境を回りの人が理解しようとするのは、かんたんなことではありません。
なぜなら、家族や親との関係性、生活スタイルや環境、性格や価値観もすべて、自分とまったく同じ人はいないからです。
人はだれしも、自身が経験したり感じたりしたことは理解しやすいし、想像もしやすいです。けれど、それに当てはまらないことは理解しよう想像しようとしても限界がある場合もあるし、相手に思ったように伝わっていない場合もあります。
これは毒親育ちによっても変わりますよね。毒親から暴言・暴力を受けて育っていても、その程度は毒親によって違うし、毒親育ちの受け取り方も違います。毒親育ち同士が自身互いの経験を共有しても、理解したり共感できたりするところも、そうではないところもあります。
毒親育ちの苦しみを話したいときに考えること

毒親育ちの苦しみは、ひとりで解決できるものとできないものがあります。
ひとりで解決できない苦しみは、頼れるなら誰かの力を頼るのもひとつの手です。
ただ、上記でご紹介したとおり、必ずしも毒親育ちの苦しみが理解されるとは限りません。話したいと思ったときは、話しても大丈夫なのかを一度考えてみるのがオススメです。
毒親育ちの苦しみを話したいときに考えることは下記のとおりです。
・毒親育ち自身の苦しみを知る
・話す理由・目的をハッキリさせる
・話したいことを整理する
これだけだとわかりにくいので、毒親育ちの苦しみを話したいときに考えることをそれぞれ詳しくご説明します。
毒親育ち自身の苦しみの原因を知る
毒親のことを話すにしても、毒親育ちが自身の苦しみや感情を知ることが大切です。
なぜなら、相手は毒親育ちの苦しみも毒親の言動もわからないからです。
毒親育ちの苦しみそのものはその言動によって相手にも伝わりますが、苦しみの原因とか背景はわかりません。毒親育ちが「毒(有害)」と考えていることでも、相手は毒だと思っていないこともあります。
だから、毒親の言動のうち何に憤りを覚えたり苦しんだりしてきたのか、毒親育ち自身が知ることが大切です。
これを踏まえて、誰かに話したいことなのか、話さなくても自身で解消できることなのかを判断します。毒親育ちの話は相手にとって重すぎるので、相手だって一度にすべて聞くのは神経使いますよ。
話す理由・目的をハッキリさせる
相手に話す理由・目的があると、話したあとに相手も毒親育ちも気持ちがスッキリします。
なぜなら、相手は聞くのにうんざりするし、毒親育ちも自身が何をしたかったのかわからなくて、苦しみが解消されないからです。
毒親育ちは毒親に悩まされ続けていたぶん、その原因も解消方法もわからなくなっています。だからこそ思うがままに話したいとも思いますが、それでは相手に迷惑をかけているだけです。
相手は、わざわざ時間を作って毒親育ちの話を聞いてくれようとしています。相手がそこまでしてくれるのは、相手にとって毒親育ちが大切な存在だからです。相手の心意気に報いるためにも、毒親から受けた苦しみのうちどれを解消したいのかを決めましょう。
話したいことを整理する
話したいと思っていることのうち、話す相手も理解できたり想像できたりすることから話します。
なぜなら、毒親育ちが何を話したいのか相手に伝わらないからです。
毒親育ちは毒親を恨んだり嫌悪感があったりするぶん、毒親の話をするときは感情的になりやすいです。話し方次第では、相手に「八つ当たりされている」「責められている」と受け止められます。
毒親育ちの話したいことに相手が興味を持っているとは限りません。むしろ、本音は「聞きたくもない話を聞かされている」でしょう。話す内容は自由ですが、内容の重さは相手に気遣いましょう。
毒親育ちの苦しみを話してもOKな人【体験談あり】

毒親育ちの苦しみを話してもOKな人は下記のとおりです。
・毒親育ちの人
・他人の価値観に寛容的な人
毒親育ちの私自身の経験をふまえると、世代、性別、年齢は関係ありません。上記2つのうち両方を満たしている人がベストですが、どちらか一方を満たしている人であれば大丈夫です。
なぜなら、毒親育ちが話したい理由は、自身の経験を自分以外の人に「知ってほしい」「わかってほしい」と強く思っているからです。相手の話を聞く力、理解する力、受け止める力があれば十分です。これらの能力に世代も性別も年齢も関係ありませんよね。
私は自分の親が毒親だと公言しているので、家族の話をしなければならないときは、
・自分の親は毒親であること
・毒親から「絶縁だ」と言われたこと
・家族やきょうだい、親せきとは音信普通であること
を端的に伝えています。これは私自身のスタンスを知ってもらうためです。
相手に軽蔑されても、単に価値観が違うだけと割り切っているので、精神的なダメージを食らうことはほとんどありません。ですが、「毒親育ちの人」と「他人の価値観に寛容的な人」は受け止めてくれます。
このような人が私の価値観を受け止めてくれるのは、程度が同じくらいかそれ以上の辛い経験をしたことがあるからです。私と同じ経験をしていなくても、誰かに話して気持ちが軽くなったりすると、似たような場面に出くわしたときに同じことをしようと思いますよね。「自分がしてもらって嬉しかったことを別の人に返す」、ペイ・フォワードの考えが根付いているのです。
ペイイットフォワード(別表記:ペイフォワード)
ある人物から受けた親切を、また別の人物への新しい親切でつないでいくことを意味する英語。または、多数の人物が親切の輪を広げていくための運動のこと。アメリカ合衆国などで突発的にひとつの場所で行われることがまれにある。
「ペイフォワード」とは:weblio辞書
なお、ペイフォワードの考え方は映画でもわかりやすく紹介されているので、あわせてご覧くださいね。
毒親育ちの苦しみを話すのがNGな人【体験談あり】

一方で、毒親育ちの苦しみを話すのがNGな人は下記のとおりです。
・きょうだい、親せき
・「家族神話」を信じている人
・価値観を押し付けたり強要したりする人
上記のどれかに当てはまる人は、自分とは異なる価値観を受け入れる能力がほとんどないと認識するのが無難です。
なぜなら、自分の価値観が正しいと信じたり、あるいは自分の価値観を変わるかもしれないことに恐怖心を抱いているからです。
今では、「男性も家事や育児に参画するもの」と言われるようになってきています。同性婚、事実婚、養子縁組など、社会の偏見に苦しんできたであろう家族の形も受け入れられるようになってきています。家族のあり方は時代によって変わります。
けれども、変化に対応できなかったり対応しようとしない人が一定数いるのも事実です。このような人は、毒親育ちの話を理解できないし理解しようともしないでしょう。毒親育ちの存在でさえも全否定しかねません。
特に、きょうだいや親せきに話すのはリスクが高いです。
なぜなら、毒親育ちのきょうだいや親せきは家族神話を信じているし、これまで信じていた家族観を否定されることに拒絶感も覚えるからです。話したいと思ったとしても、話さない方が無難です。
まとめ:毒親育ちの苦しみを話すときは相手を選ぼう!

上記で紹介した「毒親育ちの苦しみが理解されない理由」を知り、「毒親育ちの苦しみを話したいときに考えること」を実践していただくと、今後は抱えている苦しみを周りの人に伝えやすくなります。
最後にもう一度内容を確認してみましょう。
毒親育ちに限ったことではありませんが、だれしも本人じゃなければわからない苦しみをひとつふたつは抱えています。そこから解放されるために誰かに話したいと思うのは自然なことです。
ただ、あなたに親身になって、あなたのことを理解したり寄り添ったりしてくれる人はほとんどいません。心ない言葉を言われて傷ついたり、「言わなければ良かった」と後悔することもあります。
だからといって、話を聞いてくれる人がいないわけではありません。毒親育ちと似た境遇の人や毒親育ちの気持ちを理解できる人はいます。だれかれ構わず話すのではなく、あなたが安心して話せる相手を選んでください。
毒親から受けた苦しみを思い返すのも、それを誰かに話すのも勇気がいることです。本当に苦しいときは立ち止まっても大丈夫です。
あなたの人生はあなたのものです。毒親育ちだと気づけたからこそ、今の状況を変えられます。
上記の内容を実践したあとは、毒親と同じような人たちに振り回されたり傷つけられたりしないために「人間関係の振り返り」も必要です。具体的に学びたい方は下記にも目を通しましょう。