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【書評】「毒親」の正体-精神科医の診察室から-

「毒親」の正体-精神科医の診察室から- レビュー

「自分の親は毒親かもしれない」と思っても、誰かに相談しづらいと悩んでいませんか?

この記事では、水島広子さん著『「毒親」の正体-精神科医の診察室から-』を紹介します。

この記事を読み終えると、本書で紹介されている 「親子関係を見直すヒント」を学ぶことができます。親の立場でも、子供の立場でも、相手の言動を理解するキッカケになります。


こんな人におすすめの本です!

  • 「自分の親が毒親かも?」と思っている人
  • 親の言動にモヤモヤしている人
  • 家族関係や親子関係に悩んでいる人


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『「毒親」の正体-精神科医の診察室から- 』 書籍紹介

「毒親」の正体-精神科医の診察室から-|書籍紹介

ちょっとしたことで母親はAさんを全否定する。身体を引きずり回し、家から閉め出すことも数知れない。なぜ母は私を苦しめるのか。苦しむAさんに精神科医は意外な答えを示した。「お母さんは、発達障害だと思います」ー。不適切な育児で、子供に害をおよぼす「毒親」。その被害を防ぐカギは診察室にあった。臨床例から彼らの抱える4つの精神医学的事情を解説、厄介な親問題を手放す指針を明らかにする。

『「毒親」の正体-精神科医の診察室から-』「BOOK」データベース



『「毒親」の正体-精神科医の診察室から』は、2018年3月に出版された書籍です。タイトルの通り、「毒親」になる親がどんな人物なのか、毒親およびその子供双方の視点での解決方法とあわせて、著者である水島広子さんの経験をもとに紹介されています。

なお、水島広子さんは精神科医です。対人関係療法専門クリニックにて院長を務めています。2児の母親でもあります。また、2000年~2005年には衆議院議員を務められていました。

この本以外にも、対人関係、発達障害、精神疾患、トラウマ関連についての本を複数出版されています。


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本がわかる!5つの要約ポイント

「毒親」の正体-精神科医の診察室から-|本がわかる!5つの要約ポイント

この本でポイントとなるのは下記の5つあります。


  1. 毒親になる原因は4つ
  2. 毒親になった原因によって子供に与える影響が違う
  3. 毒親育ち向けの毒親の対処方法は5つ
  4. 毒親育ちが不安定な愛着スタイルを手放す方法
  5. 子供から毒親認定された毒親の対処方法


これだけだとわかりにくいので、それぞれ詳しくご紹介します。


毒親になる原因は4つ

水島さんの診察経験で毒親になる原因と考えられているのは下記の4つです。


  1. 発達障害
  2. 不安定な愛着スタイル
  3. うつ病、トラウマ、依存症などの精神疾患
  4. DVや姑問題など環境に起因する問題


この4つの原因のうち、特に推されている原因は「発達障害」。医師から発達障害と診断されていない「グレーゾーン」の方も含まれています。

水島さんによると、発達障害の親は我が道を突っ走るために、子供の意向や価値観を無視して「(親が)正しい」と思う子育てをしがち。周りが見えなくなります。水島さんのクリニックに来る毒親の大半が発達障害とのことです。

愛着スタイルは、幼少期における母親(または母親の役割を担う人)の関係性によって形成されるもので、安定型、不安定型、回避型の3種類があります。このうち毒親になりうるのは不安定型と回避型の愛着すたいる。それぞれの愛着スタイルは下記のとおりです。


3つの愛着スタイル|安定型・不安定型・回避型


毒親になった原因によって子供に与える影響が違う

毒親になった原因別の子供に与える影響は下記のとおりです。


毒親が毒親になった原因と子供に与える影響


毒親育ち向けの毒親の対処方法は5ステップ

毒親育ち向けに提案されている毒親の対処方法は下記のとおりです。


  1. 「自分は悪くなかった」と認める
  2. 「怒り」と「波乱」を受け入れる
  3. 親にも事情があったと認める
  4. 親にできることを整理する
  5. 現実的な向き合い方を考える


この5ステップを端的にまとめると、毒親育ちに非はない前提で、毒親に怒りの矛先を向けて責めまくる。冷静になったタイミングで毒親の状況(毒親になった背景など)を把握・理解して、毒親育ちに歩み寄る。最終的に、毒親との付き合い方を決めるのは毒親自身でOK。

理想形は、「毒親育ちが毒親の問題をみずから手放すこと」。毒親問題に悩まされている間はみずから不幸せにしているので、幸せになるためにも心の平穏を取り戻すことが重要。心の平穏を取り戻せれば、周りの人と良好な人間関係を築けます。

水島さんのおすすめは「毒親との関係を再構築して、関係を継続すること」です。これは、毒親が毒親になった原因を子供(毒親)が突き止めれば、子供が毒親対策ができるためです。絶縁については否定的な立場に立っています。


毒親育ちが不安定な愛着スタイルを手放す方法

毒親育ちが不安定な愛着スタイルを手放す方法は、「安定型の愛着スタイルを持つ人をパートナーにすること」です。

毒親育ちが毒親から解放されるためにも、毒親の連鎖を断ち切るためにも有効な手段とされています。安定型の愛着スタイルを持つ人と接し続けると、不安定な愛着スタイルが矯正されるとともに、健康的な人間関係も学べます。

パートナーでなくても、下記のような人との人間関係も有効とされています。


  • 気分のムラがなく、一貫性がある人
  • 距離を急に近づけたり遠ざけたりしない人
  • 何を言っても受け入れてくれる人
  • できること、できないことを明確にしてくれる人
  • できない場合には、その理由を誠実に説明してくれる人


子供から毒親認定された毒親の対処方法

子供の話に耳を傾け、毒親認定された原因を理解し、対策を考えることです。毒親主体ではなく、子供主体にして起きた出来事を受け止めると、自分の言動を振り返りやすくなるからです。

子供が毒親認定するのは、毒親が無自覚・無意識のうちに自分の感情や期限で子供を振り回しているからです。「良かれと思って」という対応は、子供からは「自己正当化したいだけ」と受け止められます。毒親は、下記の引用文を肝に銘じることが必要です。


「親たるもの、正しくあるべき」というような観念にとらわれていると(「毒親」の多くがそうです)、「あなたのせいでこうなった」などと言われたときにどうしても防衛的になってしまい、結果としていつもの「毒親」パターンを繰り返すことになってしまうのです。

『「毒親」の正体-精神科医の診察室から-』


佐藤みなと
佐藤みなと

「自分は絶対に正しい」という概念を疑ってかかった方がいいですね。どんなに優れた人でも、つねに完璧というわけではありません。


毒親育ちが学べるポイント

「毒親」の正体-精神科医の診察室から-」|学べるポイント

この本から学べるポイントは下記のとおりです。


  • 毒親になる原因と対処方法を体系的に学べる
  • 精神科医の視点から毒親を見ることができる


佐藤みなと
佐藤みなと

ただ、このような話は他の毒親関連本でも紹介されているので、この本を読むキッカケにはなりにくいと思います。


毒親育ちにとってのおすすめ度

「毒親」の正体-精神科医の診察室から-|毒親育ちにとってのおすすめ度

おすすめ度:★☆☆☆☆

Amazonレビューでは高評価ですが、毒親育ちが読むべき良書とは言えません。


毒親育ちにとってのおすすめ度の背景

「毒親」の正体-精神科医の診察室から-|毒親育ちにとってのおすすめ度の背景

毒親育ちにとってのおすすめ度の背景は下記のとおりです。


「毒親=発達障害」と認識される可能性がある

私が臨床的に診てきた「毒親」でもっとも数が多いのは、実は発達障害の人たちです。彼ら(彼女ら)としては、むしろ一生懸命育児をする中で、結果として「毒親」となってしまうのです。本書ではわかりやすく説明するため、その人が医学的に「障害」の基準を満たすかどうかよりも、「そういう傾向がある」というレベルも、この分類に含めています。

「毒親」の正体-精神科医の診察室から-


近年、発達障害について知られるようになってきましたが、当事者以外の興味・関心はまだ薄いからです。発達障害の症状も研究途上です。障害の程度も千差万別なので、発達障害だから毒親になるとは限りません。

上記引用部分は水島さんの所感ですが、それをを鵜呑みにされる可能性がゼロとは言えません。読み進めるうえで、「毒親=発達障害」と認識されてしまいかねません。

現状、発達障害のうちADHD(注意・多動性障害)については、50~80%(平均70%)の確率で遺伝すると言われています。毒親が実際に発達障害か否かは別にしても、毒親育ちが自身に「毒親予備軍」とレッテルを貼ったり、子育て中の毒親育ちには精神衛生的に悪影響をおよぼしかねません。


毒親擁護が強く、毒親育ちに毒親を受け入れさせようとする

水島さん自身が親なので、立場的に毒親を批判したくない可能性は考えられるからです。

それでも、毒親の言動を正当化している表現が散見されます。たとえば下記のとおりです。


「毒親」とは、突き詰めて考えれば「(親に)不向きな人」が突然親という役割を背負わされて、「子供は親に従順であるべき」「ほめると子供はわがままになる」などという迷信に振り回されて、あるいは単に自分に余裕がなかった(マルチタスクができないことも含めて)ために、子供にひどいことを言ったりしてきたにすぎないのです。

「毒親」の正体-精神科医の診察室から-


結婚も子育ても、そうすると決めたのは毒親なので、これらに関する責任を負うのは毒親です。「子供(毒親育ち)に非はない」と言いながら、毒親育ちに責任を押し付けようとするような表現は矛盾しています。この本を読むことで、毒親育ちが苦しむ可能性が否めません。


毒親と毒親育ちの関係性について机上の空論が多い

水島さんの論調で多いのが「毒親でも話せば理解し合えるはず」というものだからです。たとえば下記のとおりです。


「私はもう大人になったのだから、一切の口出しをやめてほしい」と言えば聞いてくれる親もいます。

「毒親」の正体-精神科医の診察室から-


親に罪悪感を持たせることは、実は決してプラスにならないのです。それよりは、「頑張ってきたつもりだけれども、今からでもできることはしよう」と思ってもらった方が、はるかにましなのです。

「毒親」の正体-精神科医の診察室から-


毒親が精神科に行って、医師が辛抱強く対峙すればそれが実現できるかもしれませんが、それがかなわない現状があるから毒親育ちは苦しんでいます。

多くの毒親が「自分は悪くない」という発想を前提に毒親育ちを攻撃するのがデフォルトです。そのような状況で、毒親が反論せずに最後まで子供の話を聞いて理解できるようになる日は半永久的に訪れないと言っても過言ではありません。


書籍情報

「毒親」の正体-精神科医の診察室から-|書籍情報

  • 書籍名:「毒親」の正体-精神科医の診察室から-
  • 著者名:水島広子
  • 出版社:新潮新書
  • 出版日:2018年3月16日
  • ページ数:141ページ
  • 目次:
    第1章 「毒親」は子供を振り回す
    第2章 「毒親」の抱える精神医学的事情
    第3章 「毒親」の子のための5ステップ
    第4章 「毒親」問題を手放す
    第5章 不安定な「愛着スタイル」を変えていく
    第6章 こじれる母娘問題の「女」について
    第7章 「毒親」とされた親御さんへ
    第8章 「大人」として親を振り返る


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